hike culture | March 2005
以前こちらのページで紹介しましたHIGASHIYAが二店目となる"ori HIGASHIYA"を西麻布にオープンさせました。建築家内田繁氏が設計した、ギャラリー、ショールーム、ショップからなる複合施設「ル・ベイン」の1Fにオープンさせるにあたり、中目黒のHIGASHIYAの2店鋪目のコンセプトをどう表現し、昇華させたのか、またori HIGASHIYAの名前の由来は、というあたりを、今回もシンプリシティの代表、クリエイティブディレクターである緒方慎一郎さんにお話を伺いました。
 
HIGASHIYAのオープンから2年が経ち、2店目の出店ということですが、
ori HIGASHIYAの独自性というのは?
 
単純に言うと、HIGASHIYAのギフトショップというのが基本的な考え方で進めていきました。条件がああいった西麻布の立地で、自分のやってるスタイルがあそこにはまるということで誘いがあったんだけど。その誘いのもと、どっちかというと今までうちは立地的に中目黒という場所だし、HIGASHIYAにおいてもあの一軒家で青葉台であの場所の雰囲気を出してやっているところがあるので、最初は迷ったところがあったんだよね。あそこにHIGASHIYAを同じコンセプトでもっていったところで果たしてどうなのかなと。最初はやるなら青葉台のかたちをそのままもっていく方向で考えたらどうなのかなと思っていたんだけど、やっぱりそこは西麻布という場所柄もそうだし、ビルのデザインが白を基調にしたガラスで抜けててという、どっちかというとモダンな空間に、今やっているかたちをそのままストレートにもっていける空間でもなかったんだよね。それをどっちかというとプラスに考えたところがあるんだけど、HIGASHIYAではすごくいいプレゼンテーションができているわけだけど、同じコンセプトでの2号店ではなくて、ある程度向こうの流れに沿ってできることを考えようかなという。それで考えたのが、HIGASHIYAのギフトショップという位置付けで、極端な話、もちろんお菓子が中心にはなるんだけど、お菓子だけじゃなくてもいいんじゃないかと。お菓子屋が今後和菓子だけを売っていくということだけではなく、そこから広がるHIGASHIYAのコンセプトに沿った、例えば調味料や食品も紹介していければいいなということを考えだして、そう考えると、うちのギフトラインもつくれるし、それは面白いな、というところからHIGASHIYAのギフトショップを設けようと思ったわけです。

それでまた名前に悩むんだけど、悩んで、悩んで、結局ori HIGASHIYAになった経緯っていうのは、今言ったようなHIGASHIYAのギフトショップをどう表現しようかなというところで。まず日本の贈り物というのはどういうものなのかなと考えた時に、単純に菓子折りだと。HIGASHIYA○○とか色々考えたんだけど、HIGASHIYAのギフトをなんとか一言で表現できないかなと思って出てきたのが、「折り」という言葉だった。「折り」とい言葉自体に、菓子折り、折詰めというように、それだけでギフトボックスというような意味合いがあるわけで。四季折々というように季節のものを、ちゃんとギフティングしていこうということもあるし、何かの折にとか折にふれて使うとか、やっぱり和のギフトというのは何かの折に必ず用いるものということで、全ていけるなと思った。それでoriHIGASHIYAにしようということになったということですね。そこには今度折り形の折りっていうのがすごく出てきていて、DMなんかもそうだけど、壁に貼ってる折り形とかあそこの一つのデザインモチーフに折り形というのを持ってきてるんだけど、これも和のギフトをやるにあたって、日本のパッケージをいろいろ検討していったら、どうしても和紙で紙を折って、贈り物を包んで、要は折り目正しくっていう意味なんだよね。折りっていうところで。折り目正しくぴしっと折り形を折って、ぴっとした気持ちでものを贈ることもあるんだろうね。そういうモチーフにすごく感じるものがあって、それが折りだけじゃなくて、紙でまずものを包んで、水引きをかけて、のしを添えるっていう一つのルールなんだよね。日本の、ものを贈る際の。実はHIGASHIYAがオープンして1年半くらい和菓子をずっとやって、やっぱりのし紙どうしましょうか、っていう話に必ずなるんだよね。