hike culture | March 2005
お店の特徴について少しお聞かせ下さい。
 
昔から京都の町商屋とかに従業員が足袋で一段上に上がったところから接客するというかたちがあるんだけど、ori HIGASHIYAでも、内側からスタッフがたてひざで一段上がったところから接客するという、昔ながらの方法をとっているね。それからお菓子を入れるケースなんだけど、あれはイギリスのアンティークのシャツの什器なんだよね。ある種カジュアルにものを提供していってというのもあったから、あの場でお客さんに聞いて、これをいくつとかね、そういう売り方をしたかった。だから一口菓子を全部冷やして見せてっていう。ショコラテへ行くとそういう売り方をしてるじゃない。チョコレートのケースっていうのはああいうかたちでこれをいくつっていう、これは和菓子でもできるんじゃないかなって前から思ってたんだけどね。それを実現させたのがあの什器のケースで。多分和菓子屋であの売り方をしているのはないんじゃないかな。特徴としては、あれが実は非常に特徴で。プリンとかブランマンジェとか置いている方も、見せて冷えるようにしているんだよね。それが大きな特徴だね。
 
人の軒先を借りてやるということで、相手側とコンセンサスをとる難しさっていうのは多々あったと思うんですが、あの器の中で、例えばギャラリーに面していていたりする中で、ori HIGASHIYAさんが考えた構成っていうのはどういったことだったのでしょうか。
 
奥に8席のカウンターがあって、手前がお店になっていると。お店側は道路に面して、外に向かって主張していて、あとは中に引き込んで始めて、中庭とかギャラリーとかが見えてくるわけだけど、最初から中に引き込むようなデザインにしてほしいという要望はあって、店においても奥まですっと見えるようにしてほしいということと、白を基調にしたいという、全体が白というテーマだから、その二つの要望はありました。内田さんの方から。それは守ったつもりで、それを守っていきながら、手前は店が外に面してるからいいんだけど、奥の使い方として、あそこの施設全体の喫茶の場所として提供しなければいけなかいということがありました。まず中庭に対してオープンであるということ。それから、あそこではギャラリーを中心としたコミュニケーションスペースとして、あの庭が成り立ってくるんだよね。今までも何回かの企画展のたびにレセプションがあったんだけど、そのレセプションを全てうちで補っていこうということもあったから、まずあそこを全部空けると中庭からオープンになって、通常はL型の8席のカウンターでやってるんだけど、あれを全部オープンにしてカウンターを伸ばしたら、そこがパーティー会場になるというシステムにしているのね。だからパーティー会場にするときは厨房側のドアを開けると、店内との仕切りのドアになって店内から中に入れなくなるのね。かつパーティー会場側に厨房があるから、パーティー用に厨房が使えるし、外側は単独したお店になるし、中ではイベントのパーティー会場になると。その機能を持ち合わせているっていうことだね。
 
家具に関して少しお聞かせ下さい。
 
HIGASHIYAに置いてある椅子はお茶室の機能を考えてつくったわけだけど、今回はカウンターで使うということで、だからお茶室のかちっとした低めの椅子でありながら、バーカウンターの要素も入れなきゃいけなかったんで、肘掛けがないと、こうやってぴしっと飲んだりしてるときはいいけど、夜お酒を飲む時は疲れるからということと、両側にひじかけがあるようなとスペースではないことから、あえて片ひじ掛けにすることであのデザインを保って、機能面もいけるということで片肘掛けにしたのね。マテリアルを変えたのは、銅にしたのは、インテリア的に銅でまん中の仕切りを入れているので、その銅板と椅子の銅のラインがすっと見えてくるんだよね。あとは木の色とカウンターの黒とというバランスかな。