hike culture | March 2005
いろいろパッケージのデザインをしている中で、結局そののし紙をつけるってどうかなと、まあ、既成のいわゆるのし紙はつけずに、うちなりに考えてはやってたんだけど、いつものし紙つけるだけでださく古くさくなっちゃうじゃない。だからそののし紙をもう一回ちゃんと考え直したらどういうものなのかなと。ああいうものって決まりの中でやられてきてるから、勝手に変えるとすごく縁起が悪かったり、失礼にあたったり、すごく怖い部分があるじゃない。だから何となく避けてた部分ではあったんだけど、ちゃんと真面目にのし紙について考えようと思って、そこから調べて分解していったわけだね。で、分解していく中で、のしっていうのがのしあわびのことだったんだとか、水引きっていうのが贈るものを清めるためにひく、結界のラインだったんだとか、折り形が折り目正しくぴしっとなることが、清潔感があって清いものっていう意味の表れだったんだとかさ、そういうことが色々と調べていくうちに出てきたんだよね。だったら、うちは日本の伝統を守るべく、すごく古いものを今の時代に再構築して、先に残していくという作業をやらなければいけないっていうことで、SIMPLICITYをやってきているわけだから、それもその一つで、あののし紙もそろそろ誰かが現代風ののし紙を考えないと、多分いつまでもあれが続いていくだろうし、どこにものし紙をちゃんと新しくデザインして包むところっていうのはないし、ただ地方に行くと水引き屋さんなんかがあるけどね。けど水引き屋に頼むときって結婚式とか結納の品を揃えるときとか、ほんとに仰々しい時のことなんだよね。やっぱり何にも、お菓子を包むにも何を包むにも、ちゃんと包めるような店になりたいなと思ったんだよね。正直これはまだ出来ていない部分で、やっていく中でつくっていくしかないんだけど、一応今はものを贈るときに、真、行、相と贈るかたちによって、正式なもの、カジュアルなもの、かんたんなもの、という3つに分けてデザインをして、パッケージして贈るというシステムをつくろうとはしてるんだけどね。だから、そういった意味でも折るということについて特化した、テーマ性をもったori HIGASHIYAという新しいギフトショップということなんだよね。

それは何の作業でも同じことだと思うんだけど、勝手に新しいものをつくるっていうのはちょっとまた違うことで、ヒントはやっぱり古典にあって、まずは古典をみること、古いものの意味を分析して、それを現代にどう置き換えるかという作業なので、意外にゼロからではないんだよね。折り形っていうのも第一人者がいて、いろんな本を出されてて、そういうものを調べて、基本的にはやっぱりそれにのっとって折り形を作るんだけど、果たして本当にそれでいいのか、というところだけ手を加えていこうかなと。どこまでそれが正式なのかなっていうのを色々聞くと、意外に地方によって違うらしくて。かたちが違うっていうことは、勝手につくってきてしまってるんだろうね。誰かが常に。色も違ったり、日本の中でも地方によって違うから、絶対に外しちゃいけないところだけを外さなければ、あとはもっと自由につくっていいんだなと。例えば先々、誰がつくったか知らないけど、それがルールになってたりすることの連続だから、だから、もちろん基本は古いものに学んでやっていくんだけど、外しちゃいけないところだけ抑えて、あとは自由な考え方でやっていこうかなと。ちなみに絶対に外しちゃいけないことっていうのは、結び方と、綴じ目だけみたいなんだよね。よくよく聞くと。結び方っていうのは結びきりか、花結びかで、要はその結びがほどけるのかほどけないのかっていう違いがあるということと、あとは右側が上になるという決まりがあるくらいで、そこくらいを外さなければそんな恥はかかないらしくて。あとは柔軟にやろうかなと。例えば結婚式では二度と別れないようにということで、やっぱりほどける結びはだめだし、そういうことだけを抑えていけばいいかなと。のしというのはのしあわびと言ったけど、あわびをもう一点添えるっていう意味があるわけだよね。角にあるのがあれがのしあわびで、いわゆるのしのしと言ってるのはのしあわびのことを言ってて、あれは贈り物にさらにもう一つの贈り物を添える、ものは一つ贈るより二つ贈った方が贅沢でいいということで、それがのしを添える意味で、昔神様に捧げたのしというのは、食べ物の中では高価なものだったんだよね。でもいま実際そこまで考えたら、本当にあわびを入れてということをやってることがあるかというと、結納とかで本当に正式なとこだとあるのかな、それかプラスチックであわびっぽいのが入ってたりするんだけど、あとは印刷で入ってるだけでしょ。今の時代あわびをもらって嬉しいかっていうとそうじゃないわけで。ルールで昔からのことでやってきたわけだから、中に入れるものは別にあわびじゃなくてもいいんだよね。それがもう一つの贈りものだという意味で、逆にそれが喜ばれる、使えるものの方がいいんだけど、なかなかパッケージだけでそこまでできないから、今うちが考えたのが季節のしおりを入れようかなと思っていて。折った中に季節のしおりを必ず入れて、例えば一月だったら椿のしおりだったり、三月は桜のしおりだったりと、花のことばとしおりの意味が入っているようなデザインにしてるのね。実際そのしおりだけでも後で使えるし、それ自体がきれいなものだったらもらっても嬉しいし、そういうシステムにしようかなと考えてるんだよね。そういうところにもっていってるかな。