hike culture | July 2005
 

難しい部分ですね。

 でもだから逆に旅館の設計っていうのはすごくしたかったのよ。まあ、ちょっと最初戸惑いはあるかもね。古民家風の囲炉裏が部屋にあったりするような方が、なんか田舎にきていいねーという、茅葺きのっていう良さはあるだろうね。本館の。だからなんだか緊張してやだなっていう人もあるかもしれないよね。お年寄りにはちょっと厳しいかなっていうのもあるけど。けど、無量塔が出した新しさっていう意味ではこれくらいでいいと思うんだよね。



家具のセレクトについてはぎりぎりまで悩まれてましたよね?


 やっぱり時間が許す限り考えたい。あと1週間あれば1週間考えたいんだよ。だからそのくらいベストを尽くしてるということだと思うんだけど。セレクトは二つの部屋で違って。汲は最大限の開放感。高さと奥行きと。暁は凝縮した、モダンな和の凝縮みたいな感じがあって。汲は建築的な面がバンバンと出てくるのね。だからそこにはほんとに説得力のある、大きなソファが絶対欲しかったのよ。だから結局つくることになったよね。ここにはものすごくそいつだけの存在感がどんとあるものがあってもいい空間だから、逆にちょこちょこっとしたものを置くと映えないのね。それともう一つはこれだけのビジュアルがある部屋だから、外から見てもこういう見え方してくるでしょ。だからドーンというものと、プラスもう一つなにか色気のあるものがほしかったから、予算もあったしケアホルムにしたんだけどね。テーブルはタイルがポイントだったんだよね。普通の木のテーブルだけではちょっと寂しかったんでポイントのあるテーブルがほしいというのがあったから、それとここは広いだけに機能がね、下に台がついてたじゃない、新聞とかそういうものを置きたかったというのと、大きさがちょうどよかったんだよね。暁の部屋に関してはこの黄色のテーブルは見た瞬間から決定してたんだよね。あとはソファとのバランスで、最後まで悩んだけど、結果的に良かったよね。それくらいこのデザイン性のあるタイルのテーブルが相当効いてるよね。



A、B棟(浅井氏担当)は新しい家具のみを置いていますが、C、D棟(緒方氏担当)で古い家具を選ばれている理由はあったのでしょうか。


 本当は梁とかみんな古材で組みたかったのね。そこに無量塔らしさをもっと出そうと思ってたから。でも全部新材になったから。玄関だけは古材を使って無量塔らしさを出してるけど、基本的にはパキパキしてるでしょ。だからやっぱり置いてる家具とかは古くないとバランスがとれないかなと。だから向こうは古材を多く使ってるし、すごく新しいモダンなのがあってもいいと思うんだよね。全部屋泊まったけど、浅井さんの部屋ね、けっこう落ち着くんだよね。自分の部屋は自分が考えてるから、それを追って、しめしめっていう感じでチェックの目で泊まるわけだよね。でも浅井さんのところは普通に客として泊まった感じだったからかもしれないけど、でもやっぱり浅井さんのところ落ち着くなって思ったよね。



10年15年後のスタンダードを目指すということですが。

 無量塔がオープンしたときもそうだったんだよ。今までにない新しいかたちで。古民家を移築してきてコルビジェ置いてっていう、そのスタイルが斬新だったわけだよね。15年前に。で次の提案だから。次の無量塔はここから10年15年やっぱりトップを走ってほしいし、で、先々みんなが真似し出して10年15年後にスタンダードになるっていうくり返しだと思うな。





緒方氏が手掛けた新設の1棟に我々の家具を落としこんでいただきました。この度はデザイナー、無名問わずセレクトしていただきました。デザイナー家具ばかり騒ぎ立てられる昨今ではありますが、無名品家具の中にも優れた家具があると、それが我々のコンセプトであり、藤林氏、緒方氏にもご賛同いただき感謝している次第であります。50年の月日が経過した家具達が新設された山荘無量塔という素晴らしい環境、佇まいの中で再び輝き始めることができたのは我々も嬉しい限りであるとともに、それらを製作した当時のデザイナー、職人達も感慨深いものがあると想像します。
元来もっている山荘無量棟の素晴らしさに加え、今回新設された3棟がまた新しい旅館としてのあり方を示してくれています。是非一度湯布院まで脚を運んでいただき、心行くまで山荘無量棟をご堪能していただければと思います。

ハイクオーナー 須摩 光央

 
 
 
大分県由布院温泉川上鳥越 TEL. 0977-84-5000
www.sansou-murata.com/
 
www.simplicity.co.jp